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recollection’s blog

書籍、漫画、アニメ、評論、映画、その他コンテンツの感想、評論、あらすじ、要点纏めを書いていきます。ネタバレもあるので注意

日本の怖い夜//ネタバレ感想//何故怖いのか分析

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amazonなどの評価は低評価なのだけれども、とても面白かった。


10分から20分くらいの怖い話のオムニバス。
それぞれ違う方向でのホラーを目指していて、ホラーの考え方の勉強になる。

「こわい話、聞きたいですか~」・・・ 監督・脚本:中村義洋 脚本:鈴木勝秀 出演:白石加代子

個人的に一番怖かったのは、「こわい話、聞きたいですか?」
深夜、バスの運転手が、誰も載っていないバスを運転している。ある停留所で、厚化粧の着物の、おばさんを乗せる。このおばさんが、「怖い話、聞きたいですか?」「怖い話、聞きたいですか?」って言いながら階段を始めるんだけれども、これがとても怖い。
怪談師なのか、朗読のとてもうまい人なのか、はっきりとした発音と聞き取りやすいしゃべり方で、淡々と“怖い話”を話してくる。このシチュエーションがとても怖い。完全に異質なものが日常に紛れ込んだような気がするのに、状況自身は怪異ではないので、“なにか本当に起こってしまいそう”っていう予感と、そしてそれから脱出するということができない、いつ終わるのかこの怪異が終わるのかわからない(その怪異自身は自分に対して害意を向けてきていないため)というのがとても怖い。延々に怖い話を聞かされ続けるかもしれない。怖い話自身は、それほど怖い話ではないのに、とても怖い。

「くも女」・・・ 監督・脚本:中村義洋(「ほんとにあった!呪いのビデオ」)

出演:遠藤章造(ココリコ)/岡田義徳/深浦加奈子

雑誌のライターをしてる主人公が、くも女の噂を記事にするべく、噂の発信源に行ってみると、蜘蛛女に遭遇して、自分も蜘蛛男にされてしまう話。
導入から、徐々に、核心に迫っていく感じの展開の作り方がうまいのと、キャラクターの配置がうまい。
ライターは2人組で、先輩と後輩。
先輩はオカルトをそれほど信じていなくて記者としてそれなりに有能な感じ。後輩に対して高圧的。
後輩はおどおどしていて、オカルトが怖い。幽霊とか化け物とか信じているタイプ。
女子高生への聞き込みのシーンから始まって、(友だちの友だちから聞いた話)という典型的な化け物の話を集めているところ。そこら辺の噂話から適当にでっち上げた“蜘蛛女”という概念を記事にすると、雑誌が大当たり。読者から情報を募っていると、どうも、ある特定の地域からの投稿が多い。ここが噂の発信源かもって思った先輩は後輩を調査に向かわせるけれども、後輩は、そのまま行方不明になる。仕方なく、自分も現地に向かうと、蜘蛛女に友だちを襲われたという女子高生に出会い、その襲われた女子高生の家に案内してもらう。
襲われた女の子は、襲われたショックからか、明らかに“普通でない状態”になっているのだけれども、その“普通じゃない状態”の演出の仕方がとてもよかった。まず、布団に寝ていて、ひきこもっているのだけれども、顔が無表情のまま動かない。その連れてきた友達と、ゴモゴモ小声で通訳するようにして、やっと話してくれる、という段になるのだけれども、話し出すと、ものすごい早口で、まるで小説を一人称の物語るようにものすごい速さで主観と客観を交えて状況を話し出す、抑揚なくただただものすごい早口で。という。
ここら辺からだんだんと普通でない感じが増してくるのだけれども。
その後、お母さんが帰ってきて、帰りますと言っても返してくれなくて、お茶を出されたりしているうちに、日暮れがきて、実はお母さんは蜘蛛女で、襲われて食べられそうになって、気がついたら家の中が蜘蛛の巣みたいにべたべたになっていて、さっきの娘のところに行ったらさっきの娘も実は蜘蛛女で(演出がいい、ベットの布団の中で、八本の足がモゴモゴ動いて、顔だけ出すという)(後輩は、実はこのうちの押し入れにいとまみれになってつかまっているというオチ)そして、命からがら逃げ出すんだけれども、車の中に、さっき案内してくれた女子高生がなぜか乗っていて、後ろから手で首筋を撫でられる。4本の腕で。実は彼女も蜘蛛女なんだけれども、その女子高生が妙にエロチックでいい。蜘蛛女はエロい。手が4本、足が4本で動く、という蜘蛛女の設定だけれども、妙にエロい。
で、車で事故ってしまった後、さっきの家のお母さんがやってきて、服がバーンってなって巨大な8つの目を持つ蜘蛛女に変身して襲われる。最後は、自分自身が、最初の女子高生が語っていた都市伝説の語られている怪異になっておしまい。っていう話。
調査役、探偵役を二人組にするというのは、とても、基本的で有効な手なのだな、と思った。白石監督のコワすぎ、にしても、二人組にして突っ込みとボケを用意しているし、ドラゴンボール鳥山明は、新しく新キャラを出すときには必ず二人組にすると言っていた。そうすると状況説明する役と、なぜ自分たちがこうしているのかという自己紹介ができるから、と言っていた。どういう物語でも二人組にすることによって、物語への説明と展開の速度を上げられるのだということ。
そして、いざ怪異に襲われ段階になったら、それぞれ一人になるのもいい。
二人いたら、そこまで怖くないし、状況を客観的に判断してしまう。“襲われるときはひとり”という鉄則。そういう状況を作り出すための、その二人の上司という理不尽な存在。道具立てと脚本の組み立てがとてもうまい。
蜘蛛女の怖さの演出も、バリエーションを作っていて、とてもよかった。
お話自身はテンプレだし、怪談としても陳腐だし、特撮も安いけれども、でも、とても、お話の組み立てと構造がきれいな作品だと思った。良作。

「すきま」・・・ 監督:鶴田法男(「予言」「リング0 バースデイー」) 脚本:高山直也 出演:中村俊介山崎樹範嶋田久作

いわゆる、隙間女。
行方不明になった友人の家を片付けに来たら、家じゅうのあらゆる場所の“スキマ”にガムテープが張られている。大家さんと一緒に、ガムテープを取り外す作業をしている最中に大家さんが行方不明になる。スキマから除かれているのに気が付いて、自分も慌ててガムテープでふさぎだすけれども、まだ塞いでいなかったスキマから曳づりこまれて自分自身も行方不明になってしまう。
スキマになぜひきづりこまれるのかということに気付くのが、友人が残したパソコンに入っていたビデオ。動画を取っていて、監視カメラみたいに動画を取っていてそれをみて知る。
全体的にもう少しやりようがあったのでは。と思う。スキマ女の怪談自身が有名だし、スキマ女が怖いのは、“物理的、視覚的に考えてわからないし気付かない”状態なのに、気付いてしまう、という、自分の認識が、自分の5感以下の感覚ではわからないものがなぜかわかってしまう、というものなので、映像化には向いていなくって、怪談とか、そういう、“語られる話”向きの話だと思う。箪笥の後ろの隙間から指が出てきて引っ張られるシーンとかあるのだけれども、はっきりと見えてしまうと怖くない。見えないし、認識できないけれども、確かにそこにある、というのが、怖さ。スキマ女の。
もし、スキマ怖いの話にするのなら、この話こそ、二人組の話にして、片一方が完全に認識していて、自分はわからない。友人は気がくるっているのかもしれない、と思いながら、“そこにスキマ女がいた”っぽい物的証拠だけがどんどんと詰みあがっていく。もしかして、いるのかもしれない、と思い始めた瞬間、友人が行方不明になり…という瞬間。スキマからの目線で主人公を見る、という構図が、たぶんちゃんと怖さを演出できると思う。

「大生首」・・・ 監督・脚本:白石晃士(「呪霊 THE MOVIE 黒呪霊」) 脚本:横田直幸 出演:山田優モロ師岡麻丘めぐみ

怪談。怖くはない。妖怪のたぐいの話。家に着く、土着ホラー的な、そういう、“こういうお話がありますよ”という話。
会社で、上司からセクハラ気味の告白を受けた主人公(女性)。彼女は上司から“呪ってやる”と言われる。ある朝来ると、机の上に、待ち針を無数に刺した蝉の死体が箱の中に置かれておいてある。
呪いとかは信じないけれども、なんだかよくわからないしんどさ、病気みたいになって実家に帰る。主人公は、実家の仏間が苦手で、なぜなら昔、そこで生首を見た、という記憶があるからだ。
ちょうどその時、主人公の母親が入院していて、生首が出た後、主人公の母親は峠を越えた。しかし、実家では、同じタイミングで、仏間の部屋で、祖母が死んでいた。
オチとしては、その“家”には、部屋いっぱいくらいのサイズのある大生首が憑いていて、その大生首はがいることによって、娘の死の危機を代わりにその母親が肩代わりできるというもの。それによって、祖母は母親の代わりに死に、今回は、娘が呪いで死ぬ代わりに、母親が死んだ。そして死ぬ歳に主人公はまた大生首をみる。という話。
諸星大二郎的である。こういう話は好き。

何か得体のしれないものが、何か危害を及ぼすというわけではなく、ただ、そこに、ルールとして存在している、みたいな。土着ホラー。

「金髪怪談」・・・ 監督:清水崇(「THE JUON/呪怨」「呪怨」「呪怨2」) 出演:杉本哲太

シュートショート。
海外のホテルに泊まったら、ベットに金髪の長い髪が落ちていて、最初はパツキン女とやリテーナーって思ってるんだけど、だんだんヤバイ雰囲気になってきて、ベットから浮き上がってきたパツキン女に殺される話。
これだけみたら、“ひどいもん見せられた…”って思うけれども、このラインナップの中に入ってると、一服の清涼剤っていう感じ。物語とか世界観とか、構造がしっかりしてる濃いものの中にこういうのが入ってるといい。フルコースの中に入ってくるシャーベットみたいな感じ。


「予感」・・・ 監督・脚本:落合正幸(「感染」「催眠」) 脚本:大野敏哉 出演:香川照之小島聖 世にも奇妙な物語

正直に言って怪談ではないし怖い話でもない。
これから死ぬ予定の人のところに、すでに死んでいて、他人の死を見学している3人組が来て、その人間が死ぬ瞬間を見るためにずっと付きまとう話。半分くらいでオチがわかる。
もう少し、会話、対話をして、関連性を出してもよかったのでは?
死ぬのが怖い、死にたくない、なんでこんなことに、っていうところとか、生きたい!よかった!助かった!っていう流れを作ってもよかったのでは?と思った。



まとめ。

蜘蛛女と、最初の「怖い話、聞きたいですか?」がとてもよかった。
あと、物語、人を怖がらすための展開の構造の組み立て方とか、そういうのの勉強にな