
- 作者: 加村一馬
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/09/08
- メディア: 文庫
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プロの文章かきではない人の文章だけれども、その分、物事をちゃんと伝えようという意思があり、とても読みやすい。名文。
サバイバルをした本人でないと分からない、細かい技術や、生活の中で感じることが書かれていて、とても参考になる。
家から逃げ出すときに一緒についてきた犬が死ぬシーンがあるのだけれども、それが本当につらい。
あと、山を妖怪のようになってさまよって生活していた時期に、ある老夫婦に出会い、ここで死んでしまった息子の代わりに暮らさないか、というようなことを言われるのだけれども、それから逃げ出してしまう。
それからも、居場所ができそうになると、そこで居心地が悪くなって逃げ出してしまうということを繰り返していく。本人はそれを望んでいないけれども、どうしてもそうなってしまうというところに、業のようなものを感じる。
本当に面白い本だった。人の人生というものを早回しで見せてくれた。