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recollection’s blog

書籍、漫画、アニメ、評論、映画、その他コンテンツの感想、評論、あらすじ、要点纏めを書いていきます。ネタバレもあるので注意

被差別の食卓/世界のソウルフードめぐり。おいしそう。

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被差別の食卓 (新潮新書)

被差別の食卓 (新潮新書)



世界の、“被差別者”たちのそれ彼らに独特の食事を探して旅する話。


作者本人が日本の被差別者、部落出身者で、独特の牛肉料理を食べて育ち、その料理をこの本の出発点にしている。


まず小手調べのアメリカから。


フライドチキンから始まり、黒人料理へ。すでにほとんどが南部アメリカの郷土料理と化している現状をみせながら、まあ、それでもソウルフードの定義とそしてそこにまつわる貧困の風景を描きだしてみせる。食えないものを無理やり食えるように加工したものがソウルフードです。そして南アメリカへ。奴隷だったころの人々とまだ続く差別。1%の被差別者と99%の多数派がいて、実際に差別があっても99%の多数派が「差別がない!」っていうと差別がないことになります。これが正しい民主主義です。というのがよくわかる。ブードゥー教とカンドンブレー。黒人密教。独特の文化。でもそんなことはなかったことにされたり、邪悪なものとして扱われてしまう現状。


そしてブルガリアへ。ロマの食卓。


ロマは千何年も放浪を続けてきて、そしてその民族性を失わない人たち。流れているということではユダヤ人と変わらないが、彼らは力がないために迫害されっぱなしっていう悲しい現実を持っている。(ナチスドイツ下でもたくさん殺されたけれどもみんなあんま知らないよね)ハリネズミが高級食材らしいが、その理由が彼らの聖穢感による。猫は外部の穢れをなめとってしまうからけがれていて、蛇は外皮ごと丸のみしてしまうから穢れている。ハリネズミは外側を否定しているから清浄な動物。こういう考えが彼らの文化をずっと続けてこれた原因なのかも。ユダヤ教シオニズムにも似ている気がする。(あとハリネズミはおいしくなかったらしい)


そして、このあと、イラク、ネパールの被差別者の元へ行くんだけれども、ここら辺から内容が一気にハードになる。


崩壊したイラクの国の中で“他者”扱いのロマは町を追い出されてスラムに住まざるを得なくなっている。みんな物乞いのような生活を社会から強要されている。多数派が政権をとった現在のイラクでは弱者やマイノリティはことごとく差別されている現状をうきぼりにする。


そして、ネパール。ヒンズー教のなかで、“牛肉”をたべることを強要された“不可触民”。ネパールをめぐり、筆者は、サルキと呼ばれる不可触民を見る一般のネパール人の“目”を目撃する。普通ににこやかに話しているネパール人の友人がその不可触民を見るときだけ“ああ、本当に嫌なものを見てしまった、眼が汚れる”といったような眼をする。実際の暴力的な差別の様子や、社会的に差別されている様子も描かれるのだが、その“目”の描写が何よりも心に残った。


商品の受け渡しにも、上からぽとっと落とすように受け渡す、昔のウルトラマンにもそんな描写があった。たぶん実際にみるとその光景は戦慄せざるを得ないと思う。


あと、ネパールの牛肉料理はあんまり美味しくなかったみたい。干し肉はおいしかったらしいけど。


そして、日本の部落の料理に戻ってくる。


地域と村の生活の変化の描写。


あと、さいぼしうまそう、マジうまそう。


全体的にいい本でした。