recollection’s blog

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戦争における人殺しの心理学/距離が遠いと殺しやすい。練習すればだれでも人が殺せるようになる。

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戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)Dave Grossman 安原 和見

筑摩書房 2004-05
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戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)

人はなかなか人を殺せない。だから殺すためにどうしたらいいのか。そのための方法と、それによって引き起こされる戦士のトラウマについての本。

戦争についての本だけれども日常の悲惨な事件が、なんで起きてしまうのかということについてのある種の回答のような気がした。思ったこと羅列。

  • まず距離をとること、物理的距離、心理的距離。

    • 400以上離れると結構簡単に殺せる。ミサイルとかでは全然負担はない。
    • 心理的距離を開くために、対戦相手を徹底的に侮蔑したり差別したりバカにしたり動物扱いしたりする。ジャップ!っていったりそういうの。
    • 大昔の戦争では、貴族が大勢の敵を殺してた。貴族にとって平民は人間じゃないのだ。
    • 話はかわるけど、連続殺人鬼(たとえば秋葉の事件)が沢山人を殺せるのも、相手と自分が同じ人間だって思ってないのかもしれない。

      • アメリカとかのヘイトクライムは虫のようにマイノリティを殺しているしな。
  • 心理的距離に4種類

    • 文化的距離:あいつら野蛮人だからころしてもいいんだぜ。オタクやホームレスを殺す人もこんな感じか。
    • 倫理的距離:十字軍とか、敵を殺すのに倫理的な正義がある場合。復讐の正当性とか。自分と無関係な殺人犯に対して“死刑!死刑!”のシュプレヒコールとかそんな感じか。
    • 社会的距離:特定の階層以下の人間を人間以下とみなす。日本だとエタ非人とかですね。今でいうと派遣社員とかホームレスとか。小学生が殺されたら大ニュースになるのにホームレスが殺されても新聞にも載らないですしね。
    • 機械的距離:機械、テレビ画面、暗視装置を経ると犠牲者が人間だということを忘れるという。
  • ひとりでは殺せないが集団なら殺せる。
  • 権威に命令されればどんな残酷なことでも平気で出来るようになる。

  • 98%は人をころせない、2%の人間はもとから殺せる殺人者。っていうのはこの本の紹介をしてる他のサイトにもよく書いてるけど、訓練すれば、95%の人間は殺せるようになる。逆に言うと、95%の人間は殺人者になる可能性がある。そして、殺人を可能にする、文化的距離、社会的距離を遠ざけるものは、この平和な生活の中にこれでもかっていうほどあふれている。
  • この本の筆者は、テレビゲームが人を殺す反射の練習(軍隊でやってるオペラント条件づけに酷似)してっからやべーっすよ。って言ってるけど、社会的距離の方が危ないんじゃないかって思うな。貧富の差の拡大は、マイノリティへの差別を生み、ひとが簡単にひとを殺せる環境を作り出す。