死因不明社会 (ブルーバックス 1578) | |
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- プロローグ 「死因不明社会」の出現とその処方箋
- 第1章 そして誰も「解剖」されなくなった――厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー(1)
- 第2章 現代日本の解剖事情
- 第3章 死体のゆくえ――厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー(2)
- 第4章 解剖崩壊
- 第5章 医療事故調査委員会における厚生労働省の謀略――厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー(3)
- 第6章 Aiは医療事故問題解決の処方箋となりうるのか?
- 第7章 Aiの病院死症例における威力――厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー(4)
- 第8章 「死亡時医学検索」の再建のための処方箋「Ai」
- 第9章 犯罪監視システムとしてのAi――厚生労働省・白鳥圭輔室長、独占インタビュー(5)
- 第10章 死をめぐる医療と司法の相克
- 第11章 Aiの医学的考察――厚生労働省・白鳥室長 集中最終講議
- 第12章 「死因不明社会」の処方箋と明るい未来――Aiセンターが医療と社会を再建する
死体は犯罪の痕跡を保存する一番の証拠である「死亡時医学検索」で死体を充分調べれば犯罪の見逃しは減る。だが、かつては優秀だった日本警察の「死体検索」システムの土台は、いまだに体表観察の「検視」だ。最先端の医凍機器で高度な診断を行う時代に、「死体検索」は昭和二四年に死体解剖保存法が制定されて以来、全く進歩せずに今日に至っている。体表観察で犯罪関連死体かどうか判断する、それが科学警察を標楷する現代の警察の初動捜査なのだ。検視と画像診断の併用事例を比較すると、検視のみによる死亡時診断と、その後に行われた画像診断による確定診断では、二〇人中四人に診断の食い違いがあった、という報告もある。検視単独では、誤診率は実に二〇パーセント。この比率を年間100万人の死者に当てはめれば、死亡時に誤診される人数は年間実に二〇万人にものぼる。既存のシステム擁護者は「体表から調べて怪しければ、解剖するから問題ない」と言う。しかし解剖実施率は二パーセント台で、年間三万体前後。二〇〇五年度の死者101万人のうち変死者数は約一五万体(交通事故関係を除く)。司法解剖、行政解剖という変死者用の解剖で対応できたのは一万三五七〇体。解剖が必須の死体に対してすら解剖率九パーセントである。この数字を日本で唯一、行政解剖が健全に運営され、監察医制度が実際に機能している東京都二三区内の数値で検証してみる。行政解剖は、事件とは断定できないが死因不明の遺体に通用される。法律的には、刑事訴訟法以外の法律に基づき処理される事件のために設定された解剖区分である。先の「変死者」のデータは行政解剖と司法解剖が合算されているので、司法解剖者数五〇〇〇人を引くと、四七都道府県の行政解剖症例は約入五〇〇人。変死者の中で行政解剖が行われる比率はわずか五・七パーセントとをる。
概要
- 年間100万人の死者のうち、2万人しか解剖されていない。なぜなら予算がついてないから。
- 警察で事件性があるっていって解剖される人たちは年間5000人。全体の5.9%。そうなるのはそれしか予算がついてないから。
- だから時津風部屋力士暴行死事件みたいなかわいがり事件が起こっても究明が遅れるよ、ヤバイよ!
- 乳幼児の死亡事故とか虐待であっても判断できないよ、そのまま、変死体として両親のもとにかえされて闇から闇だよヤバイ!
- それに医学の発達も望めないよ!
- あと、しんだあと、解剖に回るシステムの流れも、病理解剖は厚生労働省、行政解剖は地方自治体、司法解剖は警察庁と管轄が違って縦割り行政の弊害が出まくりだよ、こまるよ!
- 行政解剖は、地方自治体がやる気が無くって年間1桁の県が沢山だよ、弱ったよ。
- 要は“金!金!金!金!”だよ。
- でも、死体にCTスキャンやMRI(Ai((エーアイ)))をするようにすれば見逃しとか減るよ。
- お金も解剖が平均30〜50万円かかるのに比べて3万円程度とおよそ1/10で済むよ!
- 実際には結構な数の病院がこっそりとAiをつかって死因不明の死体に死亡診断書を書いてるよ。
- あとはお金と制度設計だけだよ!
- 制度設計については私に案があります。Aiを専門にするAiセンターを使いましょう、お金は医療費から持ってきなさい!
感想
どことなく全体的に詭弁くさい…。
確かに死因究明は必要だし、それに対して予算が必要で、政治的に動くには自分に力がないので世論に訴えるために小説を書いたり、こうやってブルーバックスで本を出したりっていうのは戦略としては正しいと思うんだけれども、どうしてもそのやり口が、“こうすればこまるでしょだから必要なんですよ”“あいつら官僚が悪いことやってるんですよ本当は必要なんですよ”“外国の偉い人もこう言ってますよ”っていうやり方でどうにもと思う。
まあ、それにしても、解剖されない死体が多くって、事件性があっても、体の表面を見ただけで、そのまま返されてしまう死体が多いっていうことがわかった、なんかミステリーとかのネタで使えそう。(作者の海堂尊さんが既に使っているが)